中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2650回
借金して株を買うと眠れなくなります

日本の資産インフレをふりかえって見ると、
借金をして不動産を買った人が一番ひどい目にあっています。
もちろん、銀行の支店長がやってきて
「お金借りて下さい」と言っても、
堅実経営をモットーとする人は誰もかす耳は持っていません。
ところが、土地の値上がりがはじまり、
しかもバイバイ・ゲームが続くと、
胸騒ぎはするし、
それもそう簡単には終らないぞという気持になってしまいます。
「土地神話」は日本の好況が続く限り、
いつまでも永遠に続くという錯覚を
日本国中の人たちにあたえるようになったのです。

銀行金利は高くても年8%です。
ところが地価は一年に倍以上もあがります。
それなら金利を払って土地を手に入れれば、すぐにも儲かります。
事実、そういうことは周囲にいくらでも起りました。
最初は疑っていた人たちも周囲のムードがそうなると、
それを常識として受け入れるようになります。
ですからそのあとバブルがはじけても、
「土地の神話」に頭の中を占領されていますから、
景気が悪くなっても、
しばらくしたらまた元へ戻るだろうとタカをくくってしまいます。

銀行の担保に入れた資産のうち、
土地はなかなか処分ができなかったこともありますが、
そのまま銀行の手元に残り、
株の方は相場ですぐにも換金できたので、
さっさと始末されてしまいました。
本当は株にしても高値から4分の1まで売り叩かれていますが、
早くに処分できた分だけ
担保物件としては優良物件だったことがわかります。
同じ資産インフレで損害を受けたと言っても、
株の方が軽傷だったことがわかります。

私が「借金をして株を買うな」というのは
「借金をして不動産を買う」のとはかなり意味が違いますが、
資産インフレになると、株は大波をかぶりながら値を上げますが、
借金を持っていると
不安が倍加されて正常心を失うおそれがあります。
借金がなければ大暴落をしてもすぐまた息を吹きかえしますから、
そのまま息がとまることはありません。
その点、借金する能力のない人は安眠ができますよ、
と言っているのです。


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2007年6月12日(火)

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