中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2643回
過剰流動性解消に「ひょうたんから駒」

過剰流動性に対して
中国政府が全く手を打っていないわけではありません。
それこそ超神経質になって、
打てるだけの手はすべて打っています。
急速に人民元を切り上げることに対しては、
かっての日本がそうであったように、
中国政府も言を左右にして拒み続けていますが、
それは輸出業者に壊滅的な打撃をあたえないためです。

しかし、それでは積みあがる外貨の山を潰すことができないので、
貿易外の外貨の流入に制限を加えたり、
海外投資をする国内企業に大量の外貨融資をしたりしていますが、
企業の使う外貨などタカが知れています。
国内にいる人たちに
大量に外貨を消費してもらう以外に妙案はありませんので、
海外旅行を自由化して外国でお金を自由に使ってもらうか、
外国にお金を持ち出して海外で投資をしてもらうことになります。
実はこの2つとも既にテストずみで、
香港への旅行者だけでも
1年に700万人をこえるようになりましたし、
パリのルイヴィトンやエルメスで買物する人も
日増しにふえています。
またかつては外国人しか買えなかったB株を条件つきで
外貨を保有する中国人が購入できるようにしましたが、
つい最近、
1人当り30万人民元の枠内で、
海外で投資をする途もひらくと発表しました。

もう既に国内で数ヶ月の間に
株の口座をひらいた人が1000万人もふえ、
会社で株をやる休憩時間をつくらないと出勤率が悪くなるので、
そのため、
1時間の休憩時間を設けたところも少くないときいています。
それを国内だけでなく、
国外にまで拡げるということは
預金を海外投資に使わせることになりますから、
ふえた所得を海外に動かす効果がかなりあるかも知れません。
但し、そのお金をニューヨークや
東京へ持って行けといっても無理がありますから、
さしあたり香港株、
とりわけ香港に上場されている
中国株が狙われることになるのではないでしょうか。
常識をこえることが次々と起ると私は言いましたが、
「ひょうたんから駒」
というのはこういうことじゃないでしょうか。


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2007年6月5日(火)

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