中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2630回
小さな成長会社を探して東奔西走

小さな新進気鋭の会社を見学に行く度に新しい発見があるので、
つい見落しがあるんじゃないかと気になるこの頃です。
最近、旅行のスケジュールをたてると、
「これは」と思う企業や工場を
なるべく訪問するように心がけています。
今回も成都伊勢丹のオープニングに出席する考察団は、
先ず天津にある泰達生物という肥料会社と
成都でカルシウム剤の製造をしている
維奥生物科技という製薬会社の見学に立ち寄りました。
いずれもバイオ関連だったのは偶然というより、
中国が次に世界をリードする分野とかかわりのある企業が
ふえつつあるということでしょうか。

泰達生物という会社は薬品の生産からスタートして
ずっと赤字続きだったのが
肥料に転業して昨年度決算で
はじめて僅か300万元ですが、黒字を計上したので、
もしかして「大化けに化ける」のではないかと
期待して訪ねたのですが、全くのあてはずれでした。
斜陽化する農業と懐具合のよくない農民相手では、
いくら政府が免税措置をとってくれても
起死回生というわけには行かないようです。
とりわけ原価の中で大きなパーセンテージを占める製品の運賃が
コストダウンの大きな障害になっているという印象を受けました。

それに対して、維奥生物科技の方は
工場が成都市の郊外にある小さな製薬会社でしたが、
売上げもスケールも私が取り上げた山東羅欣とよく似ており、
地味な経営ですが、
2006年度は前年度に比して74%の増益になっています。
0.02元の配当をしている羅欣に対して、
維奥はその半分の0.01元ですが、
株価の額面を見ると、維奥の額面は0.01元と、
香港上場株の普通の額面の10分の1にすぎません。
そういう額面の会社はほかにもいくつかありますが、
額面が小さければ、
1株当りの利益も当然それに比例して低くなります。
それでいて維奥が
1株当り0.01元の配当をしているということは
資本金と同額の配当をやっているということになります。
つまり小資本高配当の会社ということです。
皆さんも資料をひっくりかえしてよく調べて見て下さい。


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2007年5月23日(水)

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