第2622回
きくと見るでは大違いの石油機械メーカー
石油と関係のある業界は私の注目する成長産業の中に入ります。
自分の持株を見ても、既に売り上がって只になった株を含めて
石油関連は結構たくさん持っています。
中国で自動車の生産がふえる勢いを見ても、
また石油化学製品の需要の拡大を見ても、
石油に対する投資が衰退するとはとても思えません。
日本では石油会社と言えば、
他国のメジャーが掘り出した原油を買って帰って
精製したり、小売りをしたりするだけですが、
中国では試掘をするところからはじまって、
精製、加工から小売りまで一貫してやっています。
ですから、どの部分を受け持っているかによって、
どのくらい利益の分け前にあずかるのか、
が気にかかります。
石油の発掘に使う機械や設備は当然、
なくてはならないものですが、
いくら一貫作業をやっていると言っても、
石油後進国で見様見真似ではじまって、
しかも石油の産地でもない山東省の片田舎にある山東墨龍では
どうせ大したことはないだろうとタカをくくるところが
私にもありました。
ところが、
現地に行って創設者の息子さんである
副董事長の張雲三さんに案内されて
シームレスの鋼管をつくっている
製鉄工場の中を一巡りして見ると、
見ると聞くとは大違いでした。
私は中国人につくれるのは
パーツを集めて来て組立る程度の仕事で、
シームレス鋼管は住友金属あたりからでも
購入しているのだろうと思っていました。
ところが、高爐こそ持ちあわせていませんが、
屑鉄を買って来て、鉄を熔かして、
パイプをつくるところから一通りやっているのです。
その現場を一周するだけで、
ゴルフ場を一周するくらい歩かされました。
しかもそういう工場が5つもあるというのです。
歩きながら
「これは儲かる工場だな」
と一瞬、納得しましたが、
私たちが工場見学をする少し前に、
1株に対して4株の無償交付をする
という発表があったばかりなので、
株価もハシゴを駆け上がりはじめたところでした。
持っていた株を手離して
「しまったなあ」
と思っても、もう後の祭でした。
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