中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2583回
大資産インフレはもうそこまで来ています

ことしは旧暦の正月をすぎてから、
上海株の大暴落に端を発して、ニューヨーク株、日本株、
更にヨーロッパ株の暴落にまで連鎖反応して、
改めてグローバル化が実感されるようなことが起りました。
これまでならニューヨークが震源地と決まっていたのが、
事もあろうに中国から起ったので、
いよいよ中国経済に大不況の到来か
という書き方をする報道が主流を占めましたが、
私はむしろ中国経済が咳をしただけで
ニューヨークやヨーロッパが
風邪を引くような体制になってしまったのかと
認識を新たにしました。

なるほど中国のA株はこの一年で倍以上も値上がりをして、
そろそろ一整理あっても不思議でないと考える人も少くありません。
でもそれは中国の貿易黒字が一方的にふえ続けて
遂に外貨準備が日本を超えて1兆ドルの大台に乗せた
過剰流動性(中国では流動性過剰と呼んでいます)によって
もたらされたものであり、
これで過剰流動性にストップがかかるどころか、
いよいよこれから本格化するところです。
いままで株のカの字も知らなかった少額預金者が
僅かなお金を引き出して
証券会社に駈け込む姿が見られるようになったところですから、
一ぺん篩にかけられる時期に来ていることは
プロなら誰しも考えるところです。

でもそれは業界によって供給のオーバーする企業の
整理と再編制につながったとしても、
依然として輸出の好調が続きますので、
物凄いスケールとスピードでふえ続けるマネー・サプライに
ストップをかけることになりません。
現に二月だけで237.6億ドルも黒字が計上されていますから、
たった1ヶ月で2千億元に手の届くような人民元が
市場に放出されているのです。
これが今後も毎月のように続くとすれば、
中国じゅうが人民元の大洪水になります。
それに対して急速にブレーキをかけなければ、
猛烈なインフレが中国を襲って
資産インフレで株や不動産が10倍にもなることが
避けられなくなるところまで来てしまったのです。


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2007年4月6日(金)

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