第2548回
中国でいよいよ本格的な消費経済がスタート
中国が「世界の工場」になったことは
いまや公認の事実ですから、
異議を唱える人は少なくなりました。
でも、それを面白く思っていない人たちは
結構たくさんいて、
「貧富の差が激しくなった」とか、
「都市と農村の格差がついた」とか、
批判の声も高くなっていますが、
これはケ小平も予想していたことで、
先に金持ちになる人もいるだろうが、
全体がよくなればいいじゃないか、と言っています。
もちろん、自分より先に金持ちになる奴がいることは
中国人にとっても癪のタネでしょうが、
全体として見た場合、
いまだかつてなかったいい時代になったと思っているのが
大多数と見て間違いないでしょう。
問題はそういうことよりも
「世界の工場」は輸出の方を向いた生産体制ですから、
はたしてどこまで続くかという危機感が
年と共に大きくなっていることです。
こんなに大幅な貿易黒字が続けば、
アメリカをはじめ、ヨーロッパなどの赤字国が
黙っている筈がないし、
罰金的性格の高率課税と人民元の切り上げが躓きの石になります。
ですから、政府が中心になって
輸出中心から国内消費市場中心の経済体制に
移行させる政策がとられていますが、
経済の発展していくプロセスから見て、
中国経済は既に輸出から内需に移行する段階に入っている
と言っていいのではないでしょうか。
かつての日本でも、
食糧不足と原料の輸入代金を支払うために
「国際貿易こそ我が国の生命線」と言っていたのが、
高度成長が軌道に乗りはじめると、
いつしか賃金闘争に明け暮れるようになった動きがありました。
それと同じように、
中国もいまや安い賃金では
人が集まらない段階に入ってきています。
それを見て「それでも中国で物をつくりますか」と
鬼の首でもとったような牽制論調が日本では見られますが、
本当はそうなったところから
中国の消費市場が大へんな勢いで伸びはじめるのです。
賃金が上がりはじめるということは
国が豊かになる前兆ですから
決して悪いニュースではありません。
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