中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2517回
どの産業界にも優勝劣敗の動きが

物価も株価も、値段のつくものは
そういつまでも値上がりをするものではありません。
石油だって私は25ドルの時に50ドルになると予言しましたが、
50ドルが実現すると、
「次は100ドルだ」
と平気でアドバルーンをあげる人が現われます。
50ドルになると、
勢いに乗って70ドルまであがることもあるでしょうが、
常識をこえたようなことが起ると、
それを押さえ込む力も働いて、
必らず次の均衡点まで引き戻されるものなのです。
しばらくは落着くところに落着いて、
次のバランスを崩す条件が整うまで小休止ということになります。

株価にしても、
潮に乗って動いている船のようなものですから、
時々、大嵐にあって大揺れに揺れますが、
景気が回復すれば順調な動きに戻ります。
したがって何倍も高い波に乗ることもありますが、
いままでと違った波に乗って
やがて落着くところに落着きます。
たとえば急速に設備投資がふえれば、
設備に必要な素材が値上がりして、
素材産業がブームになります。
同じように、消費が活発化したり、
建築ブームになれば、
建築産業も建築素材産業もブームになります。
すると同業者が雨後の筍のようにいくらでも現われ、
それがいつまでも続くかのような錯覚をもたらします。
しかし、どこかで需要もしくは供給にアンバランスが起ると、
脆弱な基盤しかない企業はたちまち倒産し、
基盤のしっかりした企業だけが残ります。
中国政府は産業界のブームによって
過剰投資が起ることを怖れ、
この2、3年金融引締めに力を入れてきましたが、
そんなに効果は発揮できていません。
しかし、実際にアンバランスが発生すると、
淘汰は現実のものになります。
家電メーカーでも、電力会社でも、石炭屋でも、
鉄鋼メーカーでも、みな優勝劣敗の生き残り合戦がはじまります。
まだ成長中の業種だからと油断しているわけに行きません。
そういう色分けをする必要が
ことしの株式市場に起るのではないかと
気になっているところです。


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2007年1月30日(火)

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