中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2501回
峠をこした石炭屋と電力会社

かなり前のことですが、
私は産業の発展が電力の需要を刺激し、
きっと当分は「電力の万年不足」をきたすだろうと考えて、
中国の電力株をいくつか買ったことがあります。
万年不足が続いているところは
地方によっていまも残っていますが、
それよりも火力発電に使う石炭の暴騰が一歩早くきて、
1昨年から昨年にかけて
電力会社の採算が軒並み悪化してしまいました。
セメント会社のように、電力も石炭も使う業種は
すっかり採算が悪化して軒並み赤字か、
ギリギリのところまで追い詰められてしまいました。

では石炭屋は大儲けで、
石炭株を買った人はホクホクかというとそうでもありません。
山東省から山西省まで石炭成金がたくさん輩出しましたが、
乱掘のために事故が無数に発生し、
いまもその後始末にどこの省も頭を痛めています。
私は中国投資考察団の人を連れて内モンゴルまで出かけ、
伊泰煤炭を訪問して、
前年度に比して利益が5倍にもふえることを知って
少しばかり伊泰の株を買ったことがあります。

その株はいまも持っていますが、
0.12元だった配当が0.7元へ、そして、昨年は0.5元と続き、
また株価も買った時の倍にはなっていますが、
そんなに儲かったという実感はありません。
というのもその前年に見学に行った
すぐお隣りに並んでいる上海振華港口機械は
3年続きの株配で1株が3.84株になり、
しかも株価は買った時の倍の値段になっているからです。
片一方が倍の株価でもう一方は7.6倍ですから、
資源株が一番いいとは限りません。
しかも石炭は昨年に比べて既に15%値下がりしていますから、
いまの高値から更に上に行くことを期待するのは
少々甘すぎます。

その一方で、電力株の業績が回復して株価が戻るかというと、
まもなく昨年度の決算が次々と発表されるでしょうから
それを見るとわかることですが、
恐らく企業によっては
業績が大きく分かれることになる筈です。
みんな成長する企業でなくて
成長する企業と
そうでない企業に分かれる時がきたということです。


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2007年1月14日(日)

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