中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2497回
中国人は商売上手と安易に信じ込まないこと

日本では重電メーカーが家電を手がけ、
更には音響からコンピューターにまで進出して
総合電機メーカーとして、
ITの専業メーカーとも競合関係にありますが、
他の国ではそれぞれ専業メーカーの方が目立っています。
中国ではIT業界はアメリカで勉強して帰ってきた人たちが
手がけたせいもありますが、
ハードもソフトもそれぞれ別の会社が手がけており、
どちらがどちらにちょっかいを出しても
うまくいかずに手をひいています。

パソコンにかけては、台湾の方が先輩で、
いま中国大陸からアメリカに輸出されている
パーツやパソコンでも
大半が台湾のメーカーの進出によってはじまったものです。
まだうまく軌道に乗っていませんが、
中蕊というファンドリーのメーカーも
台湾の政府の制止を無視して
台湾から技術移動をしてはじまった会社です。

中国は13億もの人口を抱えた国だし、
自国の人だけを相手としてもIT市場は巨大なものですから、
誰でも巨大な市場を頭の中に描きます。
そうした目で株式市場を見ると、
ハードではレノボが、
またソフトでは方正がすぐにも目につきます。
恐らく皆さんもそうではないかと思います。
私は方正にとびつき買いをし、
うちの家内はレノボの前身レジェンドにとびつき買いをしました。
経験した方ならご存知の通り、
それから待てど暮らせど、値上がりしないどころか、
ジリ貧で何年も痩せる思いをさせられました。

とうとうガマンができなくなって、
北京にある方正の本社にも、レノボの本社にも見学に行き、
(どちらもトップは出てきませんでしたが)
然るべき担当者から詳細な説明を受けました。
方正は北京大学の教授が発明したソフトを企業化したもので
印刷業界ではかなり採用されているにも拘らず、
所詮は「学者の商法」と断定せざるを得なくなり、
とうとう叩き売りをする破目におちいりました。
いくら成長産業をやっていても
全く成長しない企業もあるのです。
中国人は商売上手だと安易に信じ込まないことです。


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2007年1月10日(水)

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