第2449回
正しくは「中国が世界をゆさぶる」を推奨します
最近、読んだ本で面白くてとても役に立った本に
草思社から出版された
「中国が世界をメチャクチャにする」という
妙なタイトルの本があります。
また例の中国に敵意を持った人の支離滅裂な感情論かと思って、
本屋の店頭でパラパラとめくって見たところ、
原作者はフィナンシャル・タイムスの北京支局長だった
ジェームス・キングというイギリス人で、
実地に中国各地を取材・インタビューをして書いた
とても面白いレポートでした。
私も知らないような裏話が満載されていて、
いまの中国で何が起っているのか、
それが世界にどういうリアクションを呼び起すのか、
ご本人なりの結論も出しています。
それにしても
「中国は世界をゆさぶる」(CHINA SHAKES THE WORLD)
という原題をどうして
「中国は世界をメチャクチャにする」
などと著書の全く意図しないようなタイトルに
勝手に変えるのでしょうか。
いまの日本では中国を敵視するムードがかなり強くて、
そうしたムードにおもねないと本が売れないと
出版社が思い込んでいるのでしょうか。
もしタイトルのような先入観を持っていまの中国を見ているのなら、
私も本を買わなかったでしょうし、
ここで一読をお奨めすることにもならなかったでしょう。
エジンバラ大学を出て、済南市の山東大学に中国語を習うために
中国に留学したこの本の著者は
エドガー・スノウのような
主義主張が先にあって物を見るレンズが曇った外国人と違って
中国で現に起っていることを
正確にとらえることで一貫しているので、
半世紀に及ぶ共産化によってもたらされた社会体制から、
改革開放政策によって社会主義市場経済に移る過程で
「融通無碍と実利主義」という中国人の国民性が推進する経済成長が
全世界にどんな変化をもたらそうとしているかを
眞剣に取り上げているのです。
私も知らないことが次から次へと出てくるので
それだけでも一読に値します。
草思社出版 ジェームス・キング著 / 栗原百代訳
「中国が世界をメチャクチャにする」(1,600円プラス税)
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