中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2409回
中国の広告業はどの株を選びますか

「大賀戸外伝媒」という
GEM市場に上場している南京の広告会社の本社は
南京の工業団地の中にありましたが、
本部機構は私が泊まっていた
金陵飯店のすぐ近くにありました。
本社が工業団地の中におかれているのは、
この会社が広告に必要な印刷物を刷る
印刷会社からスタートしたことを意味しており、
本部機構が町のど真ん中に移らざるを得なかったのは
スポンサーに
「何だ、広告の印刷会社か」と思われたのでは
次の時代のメディア会社を目ざす企業にふさわしくないことを
董事長ご本人も事業の内容の変貌と共に
深く認識しているからです。

「大賀伝媒」はもともとポスターの図案と印刷からスタートし、
一時は大へんな勢いで成長しましたが、
2年前に減収減益に見舞われたのは
ポスター屋では成り立たないほど競争が激甚になったからです。
そこで立看板屋に変身すべく
全国58都市で全国一のスペースを確保し、
漸く業績を立て直すことに成功しましたが、
ここでもはや競争は激甚、利幅は少なくなっています。
次の手としては画面が次々と変わる新商品を売り出して、
これで向う3年は安泰だと考えているようです。
でも、私たちが考えている資本主義の広告業とは
まだ程遠い路線上を走っていると言われても仕方ありません。

「これじゃ手足ばかり動いて、
 肝心のブレーンが機能していませんね」
と私と同行したうちのブレーンたちは首を横にふりますが、
「産業の成長過程は国によって違うのだから、
 これからが勝負だよ」
と私はかなり甘い点をつけています。

中国の広告業はまだこれからなのです。
ブレーンがあって
それがそれぞれ担当の企業の広告宣伝をするのは
やっとこれからはじまるところです。
アメリカや日本から進出した企業の広告宣伝は
それぞれの国から進出したエージェントが担当するでしょうが、
中国企業の広告宣伝は
基本的に中国のメディアのうちで
その先頭を切る企業が受け持つことになるのが、
順当でしょう。
その先端を切るのは白馬戸外媒体(無配で株価は10ドル)と
北青伝媒(0.25ドル配で株価は10ドル)と
大賀戸外伝媒(0.006元配、株価は0.50ドル)ですが、
さて、あなたはどれを選びますか。


←前回記事へ

2006年10月14日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ