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第2388回
殿様たちの昔に帰りました

日本の国の政治はすっかり世襲制の昔に戻ったと思いませんか。
戦国時代は寸土を争って武力で自分たちの勢力を築きましたが、
天下の分け目がはっきりすると、
一番実力のあるのが幕府をつくって、天下を支配し、
それぞれの領地をもらった領主たちが
世襲制でそれぞれの藩を受けつぐことになりました。
それでも天下泰平の世の中は300年も続き、
ペリーが泰平の眠りを醒ますまで、
殿様たちは世継ぎをつくることだけに専念すればよかったのです。

明治以降、新しく確立した社会制度は
第二次世界大戦で日本が敗北するまで
明治、大正、昭和と約80年間、続きましたが、
敗戦によってそれまでに築きあげられた社会秩序が一挙に崩れ、
軍閥、財閥は占領軍によって解体されて瓦解しましたが、
行政上の必要に迫られて官僚制度だけが温存されました。
戦後、政治制度もそれなりに改善され、
立法は衆議院と参議院の二院制になりましたが、
この制度にうまく乗るのは
官僚が一番有利な立場におかれていたので、
皆さんもよくご存知のように、
お役人上がりの議員さんが議席の大半を占めるようになりました。
役人の経験のある人たちが相対的に有能な人たちであり、
且つ行政に精通していたので、
こういう官僚上がり中心の政治体制は
戦後の日本を世界的な経済大国に押し上げるだけの実力を
発揮できたからだと私は見ています。

でも議員という職業は、
その地位を確保するまでが大へんですが、
うまくそれに乗ると社会的地位も高いし、
それにふさわしいだけの収入もあるし、
「3日やったらやめられない」というだけの魅力があります。
したがって議員が死んだり、隠退したりすると、
あとを誰が継ぐかというのが大問題になります。
何だ、かんだ、と言っても、甘い汁がすすれる限り
結局は身内が継ぐというところに落着くというのがいまの日本です。
一概に悪いとは言えませんが、
いいか悪いかはこれからの日本の政治の行方を見て下さい。
ガマンができたら、それでもかまいません。
皆さんが選んだ殿様ですから。


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2006年9月23日(土)

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