中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2380回
日本で欲しい人材を中国で養成するのは

いま中国の経済は物凄いスピードで成長していますが、
その分だけあちらこちらにひずみが出ています。
貧富の差もそうだし、労働力の不足もそうだし、
技術者や経営要員の不足も皆が痛感している通りです。
そうした社会的なひずみをなおしたり、
不足する人材を少しでも補うことは
自分らの義務の一つだと私はかねがね思っています。

たとえば、経済成長を推進する大きな柱は
付加価値のある工業生産です。
新しい工業製品の付加価値の中には
デザインがかなり大きなパーセンテイジを占めています。
テレビや携帯電話のような工業製品でも、
デザインのすぐれたものとそうではないものとでは
売れ行きに大きな違いがでます。
ファッションや包装やインテリアに至っては
そもそもデザインのあるとなしとでは
文化の差になるほどのウエイトがあります。
ですから、私はかねてからデザイン学校をつくることを
スケジュールに組み入れてきました。
その場合も外国人がつくることに対しては
色々と制約はあります。

また日本と中国では採用されている会計法が違うので、
日本から会計のベテランが会社について現地に行っても、
中国での会計報告はつくれません。
反対に、中国の税務署に提出する報告書が作成できても、
本社への会計報告には役に立ちません。
したがって、海外からの進出企業で働く経理要員にしても、
また決算報告書をつくる会計士にしても、
双方の会計法に精通する必要があります。
そういう経理要員が養成できたら、どちらも助かるし、
またそういう専門知識を習得したら、
当然のことですが、もっと高給にありつくチャンスがあります。
ですから、双方の会計法を勉強したい人は
そんなにたくさんはいないでしょうが、
必らずいると見てよいでしょう。

しかし、そんなことよりは
日本で現に人手不足に悩まされていながら、
日本で成り手のいない技術を中国で教える方が
手っ取り早いかも知れません。
たとえば、老人の面倒を見てくれる看護師さんとか
パソコンの修理工を養成する学校はどうでしょうか。


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2006年9月15日(金)

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