第2198回
食品売場の変化が成熟社会の象徴です
もちろん、
デパートも売り上げ減を食いとめるのには必死でした。
スーパーに人気が移ると、
食品売場の中にスーパーをつくったり、
デパートのそとにスーパーをつくる動きもありました。
体力の弱い地方のデパートは
次々と中央のデパートや有力な新興スーパーに買収され、
それでもデパートの斜陽化はとまらず、
ついにトップに位置する
中央のデパートの再編成にまで及んでいます。
そうした中にあって、
今度は消費者の購買心理に少しずつですが、
革命的な変化が起り、
安物嗜好離れが時の流れを支配するようになりました。
あッと氣がついたら、東京も大阪も
世界のブランドが繁華街に店びらきをするようになり、
デパートの一階や衣料品売り場の
一番目立ったところを占領するようになりました。
日本人は自分たちが金持ちになったのだと
いくら言われても信ずる氣になりませんが、
有名店が短期間にこれだけ集中して開業したところは
世界中ほかにありません。
そのあとを追うようにして、
上海や北京や台北にも
ブランド商品の店びらきが起っていますが、
消費者の層はまだまだ遠く日本に及びません。
またそれと併行して大きな変化が起っているのが
デパートの地下の食品売場です。
一頃、スーパーに流れていたお客が
いつの間にかまたデパートに戻ってきたばかりでなく、
「おいしい食べ物が欲しかったら、デパートへ」
が定着したのです。
そればかりでなく
俎板もない新世帯もあるようになったと言われるくらいですから、
自分で台所に立たないでもすぐに口まで持って行ける
調理ずみの惣菜やインスタント食品が
食品売場の主役に踊り出ています。
食品売場の賑わいがデパートの復活を印象づけています。
それはまた日本はいよいよ成熟社会になったのだという
事実の証明にもなっています。
人々は以前よりも、
もっと充実した落着いた生活を望んでいるのです。
そのために少しばかり出費がかさんでも
それに耐えられないわけではないことに氣づいたのと、
そこに新しいスキマができていることは、
次に新しいビジネスをやる人にとって
とても重要なことです。
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