第2180回
香港は大陸成金のタックス・シェルターです
香港はいまもって消費税はありませんし、
個人所得税も15%だけで、累進税率はありません。
法人税率は時によって1%か2%動きますが、
現在は17%になっています。
しかし、法人税率は香港にある企業が
香港で稼いだ所得に対して適用する税率で、
香港の企業が香港以外の地域で稼いだ所得には適用されません。
たとえば、香港に設立した会社が大陸に投資した場合、
大陸で稼いだ所得に対しては中国の税法が適用されますが、
その配当金とか、利息収入に対して、
香港政府は税金をかけません。
日本から中国に投資した場合、
日本に支払われた配当金や利息収入に対して
日本の税務署は日本の税法に従って追徴をしますが、
香港は一切、無税です。
したがって、フィリッピンやインドネシアやベトナムなど
東南アジアの華僑たちは
自分たちの居住している国から投資するよりも、
香港に投資のための法人を設立して、
そこから投資する方法を選びます。
台湾の場合も民進党の政府が上場企業の直接投資に干渉するので、
企業家たちは個人の資金を香港に移して、
別法人をつくって
そこから大陸に新しくつくった企業に投資します。
資金は別立てでも、金主は同じですから、
台湾の資金や技術はそのまま中国に移ります。
台湾のIT産業の90%は
そうしたワンクッションおいた移動をして、
いま中国の外貨稼ぎの主役をつとめているところです。
しかし、こうした仕組みを最も有効に利用するのは、
外国から中国に投資する人たちよりも、
恐らく将来は中国大陸で急速に資本家の仲間入りをしている
新興成金たちでしょう。
目下、中国で輩出している俄か富豪たちは
大半が税金を払っていませんので、
あまり目立ちすぎると必らず槍玉にあげられます。
それを避けるためには
海外からの投資の中にもぐり込むのが一番安全です。
できれば本人の住所まで香港に移して
華僑の一人になりすませば
タックス・シェルターの中に逃げ込んだようなものです。
そうした角度から見ると、
新しいチャンスはまだまだたくさんあることがわかります。
|