第2150回
成熟社会の消費動向が景気を左右します
世の中がどんな物を欲しがっているかは
人間よりもお金の方が先に気がつきます。
どこにお金の儲かりそうな仕事があるか、
どんな物なら人が喜んで
お金を払ってくれるかは
お金の方がよく知っています。
ですからお金がどの方向に向うかに
気をつけておれば、
次にどこでどんな産業が起るかわかります。
最近で言えば、
世界中のお金が中国へ、
ついでインドに向っています。
その途中で、堰が切れてお金の一部が
ドッと日本の株式市場に流れ込みました。
とりわけ石油の値上がりによって
産油国やその関係者の懐中に入ったお金は、
アメリカに向わずに(多分、香港を経由して)
日本の株式市場に向っています。
日本の株式市場に
投機資金が集中するかなりのスキマが
10数年に及んでリストラに励んでいる間に
できあがったのだと見ることができます。
しかも本来なら
これだけの資金が日本に集中すれば、
円高になっても少しも不思議ではないのに、
逆に円安になったところを見ると、
それに負けないだけの円資金が
それと入れ代わりに
海外に向っていることを証拠立てています。
同時に日本の資金が
外国に流れる動きがあることになります。
成熟化した日本が
それほど巨大な産業資金を
必要とするとは思われないので、
10数年に及ぶリストラによって生じた
証券市場のスキマが埋まれば、
日本の株高がはたして本格的な景気を反映して
長続きするものか、私は疑問を持っています。
アメリカの景気が弱体化して
その分が日本に移るのだという見方もありますが、
日本の景気がどこまで持つかは、
日本の基幹産業や素材産業が
中国の需要によって
どの程度支えられるかに
かなり左右されると私は見ています。
日本全体を見た場合、
成熟社会の需要がどう変化するかということが
やはり最大の要因になるのではないでしょうか。
「いい家が欲しい」とか「オジンのおしゃれ」の雑誌が
ベスト・セラーズになっているということが、
成熟化社会の次の牽引車は何かを
象徴していると私は見ています。
株式市場より消費市場の動向に気をつけて下さい。
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