第2121回
鎖国をやってきた国の隣りづきあい

最後の一つの国際化にしても、
情報伝達の手段がこれだけ発達して、
居ながらにして
地球上のどこでどんなことが起っているのか、
瞬時にわかるようになったのと、
交通の手段がこれまた異常に発達して、
ジェット機が一日にどれだけの人を
国境を越えて運ぶようになったのか、
子供にもわかるようになったので、
「もう一度、ベルリンの壁をつくろうじゃないか」
と主張する時代錯誤の人は
いなくなってしまいました。

国境の壁がおちてしまえば、
コストの安いところに行って生産すれば、
国内にいても
安く生活できるようになるのですから、
日本人にとっても有利な筈ですが、
外国からダンピングされて
国内の業者がピンチにおちいっているとか、
外国人の犯罪がふえて治安が悪化しているとか、
悪いニュースばかりが耳に入りがちです。
でも日本だって
アメリカに安売りをかけたおかげで
金持ちになるチャンスをつかんだのですから、
中国や東南アジアの国々が
そのあとに続くのを邪魔するわけには行きません。
むしろ高度の技術と資本の苦積に成功した日本が
そういう国に生産基地を移して、
世界市場を相手に
商売のできる時代になったのですから、
時代の変化にうまく乗るチャンスに
遭遇していると考えるべきです。
假にそう考えなかったとしても、
時代の変化に
ストップをかけることはできないのですから、
うまく時代の変化に乗ることのできる人たちと
選手交替する時期に
さしかかったのだと言ってよいでしょう。

こうなると、日本人のやれることは
いやでも世界的スケールになりましたが、
それに応じて日本国内だけで
物を考えたり、事業をやっていたのでは
間に合わなくなります。
靖国問題では日本人にも言い分があるでしょうが、
一国だけでなく、
二国と喧嘩腰になっているばかりでなく、
そのうしろにも「声なき声」が
控えているのですから、
日本人にとってかなり旗色は悪くなります。
300年の鎖国の歴史を持った日本人は
隣りづきあいは上手な方とは言えませんね。


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