第2079回
お金は小魚に化けてアミをくぐります

お金は政治より先に動きます。
世の中が変わって
お金の儲かる地点が居所を変えると、
お金はすぐにお金の儲かるところに動きます。
もしそれが時の政府に不都合だと、
政府が先頭に立って
お金の動きにストップをかけます。
ところが、お金は政府など怖がる
臆病者ではありませんから、
姿を変えたり、通路を変えたりして
政府の目をごまかして、
最終的には目的を達します。

台湾の企業家たちと
台湾政府のゲームがまさにそういうものでした。
もともと大陸の共産政府と台湾の国民政府、
のちにそのあとを継いだ民進党の政府は
利害関係が相反していましたので、
大陸が開放政策を打ち出して
投資を香港や台湾を含めた
海外在住の華僑に呼びかけると、
目はしのきく台湾の商人たちは
たちまち心を動かされました。

広東省と福建省に4つの経済特区ができると、
労働集約的な加工業で
労賃の高騰に悩んでいた台湾の経営者たちの中には
台湾政府には内緒で、
経済特区に工場進出する挙に出た人も少くはありません。
まだ小平の開放政策が打ち出される前に、
私は深や厦門の経済特区の見学に
行ったことがありますが、
どこの経済特区にある台湾の企業でも
私の名前をきくと、
私に一目あいたいという好奇心が働いて、
「誰が経営しているかは秘密にしておいてくれませんか」
という条件で、私を自分の工場へ案内してくれました。

台湾政府に内緒で大陸進出をした台湾企業は、
ほとんどが香港企業として進出していました。
台湾が禁じても台湾と香港は
お金も人も交流があるし、
金額の制限はともかくとして、
自由に送金をすることもできます。
それなのに大陸投資を制限するということは
スケールの大きな上場企業が
アミに引っかかるだけのことで、
小魚は網の目をくぐってしまいます。
大きい魚も、お金を細かく割って
小魚のふりをすれば、
同じように網の目をくぐることができたのです。
政府のやることが如何に意味のないことか、
これでおわかりいただけると思います。


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