第2067回
中国人に比べると日本人は排他的国民です

日本人は自分の国の中を自由に動けるので、
つい日本は開放的で自由な国だと
錯覚を起してしまいます。
でも本当は日本は世界でも代表的な排外的な国です。
私が日本のパスポートを持って
旅行をしているのを見ると、
香港やシンガポールの飛行場のゲートでも、
「へーい、珍しいですね」と感心されます。
或る時、私と家内は大連の出国のゲートで、
「どうして中国人が日本のパスポートを持っているのだ」
と出国をさしとめられたことがありました。
遅れて見送りにきた大連市政府のお役人さんが
汗をかいて私たちに平謝りに謝っていましたが、
それほどアジアの他の国の人が
日本のパスポートを手に入れるのは難しいことなのです。
假に日本籍をもらったとしても
日本名前に変えることを強要されるので、
私のように中国名前で日本パスポートというのは
先ずあり得ないのです。

日本人のそうした純血主義は
世界中見渡してもそんなにたくさんはありません。
それだけに日本の文化のあり方も、
また日本的高度成長も
きわめて日本的なものだということになります。

それに比べると、
中国5000年の歴史に鎖国という政策など
もちろんありませんでしたが、
唐宋の昔から、アラビアや印度の人まで
長安の都に出稼ぎに来ていたことは
唐詩選をひらいて見ればたちまちわかります。
人が行き来をすれば、
物もお金もそれにつれて動きます。
胡瓜とか胡椒とか胡弓とか、
エビスと字のつく品物は
すべて西の方の国から輸入された物だし、
日本で唐がらしとか、唐茄子とか、かぼちゃとか
唐の国から輸入されたことになっている物でも、
実は唐の国がまた
他所の国から輸入したものなのです。
したがって中国とは
世界で一番偉い国という意味ではなくて、
世界の眞ん中に位置しているために、
世界中の文物のブローカーがつとまった国だというのが
本当だと思います。
現にいまの高度成長だって
中国のオリジナルではありません。
東夷の国から輸入されて根を下ろしたもので、
いつまた中国からインドとかロシアに
輸出されることになるかわからないものなのです。
中国にとって高度成長もまた
よそから輸入されて、
根を下ろした商品の一つなのです。


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