第1986回
中国の石油会社と日本の石油会社の違い
1年に500万台も新車がふえる中国が
石油の輸出国から輸入国に転じ、
石油資源の確保に血眼になっていることは、
中国石油や中国石油化工の株価の上昇ぶりを見ても
おわかりの通りです。
最近は中海油田が
アメリカの石油会社の買収に名乗りをあげて、
アメリカの国策をおびやかすものだと
議会で問題になっていますが、
これも資源確保の一環と思えば
さして不思議な現象ではありません。
日本の石油生産量は微々たるもので、
ほとんどが輸入に頼っています。
日本にも石油会社がありますが、
日本の石油会社は産油国で
メジャーが掘った原油を買ってきて精製して
ガソリンやその他の石油製品を
つくって売るのが商売です。
自分で掘っていませんから、
石油が値上がりしたら、
いままでの値段に上乗せして
製品を売るよりほかありません。
それでもお金さえ出せば
石油を手に入れることができますから、
貿易黒字を維持することさえできれば、
支払うお金に困らず、
石油不足におちいる心配はありません。
中国の場合は
自国内の石油を掘ることからはじまったせいか、
石油の需要がふえると外国から買うことよりも
外国に行って自分たちで石油を掘ることを考えました。
その方がコストが安くつくし
石油が値上がりする時、
直接その恩恵を蒙ることもできます。
したがって気がついて見たら、
中国をくるりと囲む地域で石油の出るところは、
中国が主導権を握って掘削をしたり、
共同出資で掘削しており、
今回のように石油が暴騰している時も、
中国の石油会社は
値上がり益を享受する立場におかれています。
中国の石油株が必らずしも効率のよいとは言えない
国営事業であるにも拘らず、
かなりの値上がりをしているのは、
そうした鉱区の確保から精製までの一貫作業が
功を奏しているからと見ることができます。
こうした資源の確保には
莫大な外貨が必要ですが、
それは外貨減らしにも役に立つので
人民銀行にとっては
渡りに船ということになります。
海外における大型の資源開発が
目白押しになると考えて先ず間違いはありません。
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