第1972回
人民元切り上げは毒薬ではないことが

私が雲南省の大理市という
白族の町にいた時に、
人民元が2%切り上がるニュースを耳にしました。
私と同行した
新任の邱公館コーヒーの総経理は
若い頃、フランスで4年間修行をした
パティシエの専門家ですが、
考えるところがあって
静岡に3軒あるケーキの店は
すべて息子さんたちに任せ、
単身、西の果てにある
雲南省のコーヒー園まで赴任してくれたのです。
ご自身も中国株に興味を持ち、
その動向に気をつけているので、
私より早くニュースをキャッチして
私に知らせてくれたのです。

かねてから人民元の切り上げは近い、
切り上げるとすれば小幅で
精々香港ドルと並ぶ6%ていどだろうと
私はこの欄でも何回か駄目押しをしてきましたが、
同じ小幅でもたったの2%では
やったのか、やらなかったのか、
假りに損害を受けてもかすり傷ぐらいですむ
テストにすぎなかったとは意外でした。
と同時に如何に中国当局は
慣れない人民元の切り上げを恐れていたか、
改めて伺い知ることができました。

結果は翌日の株価の上昇が示している通り
ショックどころか、
歓迎相場で胸を撫でおろすことになりましたので、
もう人民銀行も平価の切り上げに
臆病風を吹かせる必要はなくなりました。
人民元の切り上げに圧力をかけているのは
アメリカをはじめ、ヨーロッパ諸国ではなくて、
本当は大へんな勢いでふえ続けている
中国の外貨準備高です。
既に7000億ドルをこえており、
この調子でふえ続ければ
ことし中に日本に追いつくことも考えられます。

外貨準備がふえ続けているということは
それに見合う人民元の発行を
強いられていることですから、
国内が人民元の大洪水になってしまいます。
インフレや利息の切り上げも
避けられなくなってしまいます。
ですから言を左右にして
切り上げを引き延ばしてきましたが、
逃げ場がなくなって小出しにやって見たところ、
証券市場に歓迎相場で迎えられましたので、
これで金融当局が
怖がらずにすむようになりました。
新しい転機が来たと言ってよいと思います。


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