第1867回
正月の挨拶まわりは銀行からという時代も

私の知っている一部上場会社の社長さんの
正月の挨拶まわりは
銀行からはじまるのを恒例としていました。
私なんか銀行から借金していても、
年末年始の挨拶なんかに
行ったことがありませんが、
上場会社ともなれば、
それが自分のためのお金でなくとも、
いつでも必要なお金を
用立ててもらうことによって
会社が成り立っているのですから、
きちんと顔つなぎをやっておかなければ
ならなかったのです。

株主に払う配当金は法人所得税を払って
あとの利益金の中から
支給しなければなりませんが、
銀行からの借金の利息は経費として計上されます。
これだと自己資金を充実させるよりも
借金で経営した方が楽ですから、
会社を預って経営する人は
借金して経営する方法を選びます。
困った時でも銀行が金ぐりの手伝いをしてくれれば、
ピンチをくぐり抜けることができたのです。

これが個人色の濃い同族会社になると、
借金は金ぐりだけでなく、
計上利益の調整にも役立ちます。
利益を減らして含み資産をふやそうと思えば、
借金をふやして
不要不急の不動産を買えばいいのです。
不動産の値上がりしている時は
借金をふやして支払い利息をふやし、
収入はないけれども
資産価値のある不動産を買えば、
その分、所得は減ります。
所得を発生させずに資産をふやすことが
資産家になる早道だったのです。

当然のことながら、
銀行と密接に関係のある個人資産家ほど
資産をふやすことができました。
私が正月の挨拶に銀行へ行かなかったということは
私がその道を歩んでいなかったことの
何よりの証拠です。
それに比べて堤家の人も五島家の人も
せっせと銀行に足を運びました。
時としたら銀行の方が
逆に足を運ぶこともあったでしょう。
しかし、その結果が
正反対の方向に作用することが
起るようになったのです。
不動産が値下がりする方向に転じ、
坂をころげおちるように
とどまることを知らない形になってしまったからです。


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