第1777回
味覚が衰えるのにテレビも一役
演歌に劣らず駄目になってしまったものに
テレビの料理番組があります。
食べ歩きや料理屋の紹介は
以前よりずっとふえましたが、
食べ歩く本人が味オンチで
おいしい物を食べたことのない人が多いので、
何を食べてもおいしいと言わないといけないと思って
「おいしいおいしい」を連発するので、
どれがおいしいものなのか
わからなくなってしまいます。
それと同じように
家庭でつくる料理を指導する番組も、
プロの料理人がその経験を披露するのならいいのですが、
いわゆる料理研究家と称する人たちの
紹介する料理を見ていると、
おいしいどころか、
まずくてとてもノドを通りそうもないものが大半です。
その説明をきいていると、
先ずおいしい物をたくさん食べていないせいか、
何が美味なのかよくわかっていないことがわかります。
おいしい物を食べる環境に育っておられない人が
料理学校で習ったくらいのことで
おいしい物とまずいものとの区別はつきません。
第二に料理の基本をよく知らないので、
そういうときはこういう油の使い方をしてはいけません、
魚のダシと肉のダシをまぜあわせては
味が落ちてしまいます
といったことも頭にないのです。
また酢の使い方一つにしても、
カニに使う酢とサラダに使う酢は違います。
チャーハンをつくるのに
葱を焦がして香りをつけることも知らないのです。
第三に食べ物の合性に無神経なので、
新しい素材を見つけると、
それを材料に加えれば
いままでにない料理ができると早合点して、
人のやらないことをやりたがるのです。
あんなやり方じゃ
とても食べられたものではないと思うのに、
テレビに出ているタレントたちが
これまた料理の基礎知識を全く持ち合わせていないせいか、
一緒になって「おいしいおいしい」を連発します。
もちろん日本国中がマクドナルドやコカコーラに
包囲されてしまったせいもありますが、
味のレベルがかなりおちてしまったなあという感を深くします。
テレビで味つけのABCとか、
何と何とを一緒にしたら合性のいい料理ができるとか、
基礎から教える必要があると思いませんか。
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