第1764回
ミシュランはヨーロッパ旅行必携の書
ミシュランといえば、
美食家たちの間では
自動車のタイヤのメーカーとしてよりは、
レストランの格付けをする
ガイドブックとして知られています。
ミシュランのガイドブックは
もともとはミシュラン社がタイヤの販売促進のために
1900年にガソリンスタンドや
タイヤの販売所を掲載して
顧客に無料で配布したのがはじまりですが、
23年からレストランや
ホテルなどの案内をするようになり、
フランス語版だけでも毎年50万部が売れています。
私も愛読者の一人で、
毎年3月、本屋に並ぶようになると、
待っていましたとばかりに手に入れる本の一つです。
これは愛読書というより
ヨーロッパを旅行する時の案内書で、
どこのホテルに泊って
どこのレストランで食事をするか、
スケジュールをたてる時に参考にします。
ミシュランにも偏向があって、
フランス人が選ぶのですから、
フランス人好みの選び方をするのは当然のことですが、
こちらもそれを承知の上でどこにするか選びます。
お金で買収されたり、
ちやほやされて事実を曲げることがないので、
この本で星のつくレストランの仲間入りをすると、
途端にお客が押し寄せますから、
企業の浮沈に大きく影響します。
星は一つ星、二つ星、三つ星の3種類に分れており、
ミシュランの解説によると、
一つ星はとてもいいレストラン、
二つ星はすぐれた料理で立ち寄るだけの値打ちがある、
それが最高峰の三つ星になると、
抜群の料理でわざわざ食べに行くだけの値打ちがある
と言うことになっています。
ヨーロッパで、わけてもフランスでは
ミシュランで星をつけてもらうことが
料理人たちの目標であり、
二つ星になるだけでも容易なことはありませんが
三つ星になったらこの業界で
押すに押されぬ大物ということになります。
反対に腕がおちて
三つ星からおろされることは商売だけでなく、
料理人の一生一代の名声と
地位にかかわることですから
それを恐れて自分の頭に弾丸を打ち込んで
自殺をした人もあります。
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