第1755回
セメント会社がなぜ金融引締めの対象に?
ことしの8月、
内モンゴルのフフホトとエルドスに行った帰り
珍しく上海に3泊し、
そのうちの1日を鎭江まで足を伸ばして
嘉新セメント(699)の工場の見学に行きました。
どうしてわざわざセメントの工場を
見に行ったかと言いますと、
ご承知のように
ことしの宏観調控(金融引締め)の対象は
鉄鋼・セメント・それに不動産への投資に
搾られているからです。
はたして実情はどうなっているのか、
金融引締めによって
どの程度の影響を受けているのか、
当事者から実情をききたいと思ったのです。
鉄鋼について言えば、
世界中で年に3千万トンの増産が2年も続き、
その80%が中国の需要なので、
鉄鋼の不足で値上がりが続き、
中国の製鉄会社はどこも増産に増産を続けています。
設備投資の行きすぎを心配して
銀行からの貸出しを人民銀行が締めてかかったのですが、
それにも拘らず製鉄会社は好業績を続けています。
そのために一頃、
かなり鉄鋼株が売られて値を下げましたが、
年末が近づくにつれてかなり持ちなおしています。
セメントが引締めの対象になったのも、
建設ブームと道路工事の需要でセメントが暴騰し、
好況を背景に設備投資が急増しているからです。
需要がふえているのに増産にストップをかけると
供給不足が深刻になる心配もあって
なかなか難しいところです。
殊に、セメントの生産量は
全国統計だけを見てもあまり参考になりません。
一口にセメントと言っても、
1階建か2階建の建物にしか使えない低品質のセメントと
高速道路や高層建築に使える高品質のセメントがあって、
不足しているのは高品質のセメントであり、
その増産をする必要に迫られているのです。
いま株価のとても高くなっている
安徽海螺のセメントとか、
上海B株にあってそのあとを追っている
華新セメント会社のセメントは
いずれも高品質のセメントです。
そういう会社は前年度に比べて
恐らく今年の利益は3倍から
なかには10倍以上というのもあります。
少し前までは1ドルちょっとだった株が
5倍にも10倍にもなっているのです。
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