第1592回
「国境破、故郷在」ではいかがでしょうか

「国破山河在」というのは
唐詩撰を代表する有名な詩句ですが、
いまは国が破れるよりも、
国境がなくなる時代に移りつつあります。

国によって貧富の差が激しく、
人口の移動を完全に自由化すると、
貧しい国の人が職を求めて
大量に豊かな国に移動して
勤労大衆の職を奪うおそれがあるので、
豊かな国はどこでも
貧乏な国からの移民に対して
きびしい制限を設けています。

反対に貧しい国では
豊かな国からの入国や移民を歓迎しています。
豊かな国の人が観光旅行に来れば、
それだけ外貨をおとしてくれるし、
長期にわたって滞在する場合も、
仕事が目的ならお金と仕事をもたらしてくれるし、
留学や居住のためなら、
生活費を持ち込んできてくれるからです。

どちらにしても国境の壁は
だんだん低くなる方向にあるし、
豊かな国に生まれた人にとって、
もう国境はなくなってしまったも同然です。
にも拘らず、自分はどこの国の人だ、
人間は須く自分の国を愛すべきだと
いまだに愛国心を強調する人を時々見かけます。
国あってこそ自分の存在があると考える人にとっては
当然のことかも知れませんが、
国を拠り所にした排他的な行為は
集団エゴイズムの見本みたいなものです。

かつての薩摩や長州がなくなってしまったように
やがて国境が消えてなくなる時がきます。
いま頃、大和魂を強調する人は
あまり見かけないでしょう。
それと同じように
排他的愛国心を煽る人がいなくなる時代が必らずきます。
国境は既に破られる方向にありますが、
国境がなくなっても、
一人一人に生まれ故郷がある限り、
故郷は人々の心の中に残ります。

そういう時代を一言で現わしたら
「国境破、故郷在」
ということになるのではないでしょうか。
そういう時代を生きる人間として、国にこだわらず、
住んでいる土地に親しむのがいいのではないでしょうか。
これも私の考えた文句の一つですが、
同感の方は好きな書家に書いてもらって下さい



- 国境破 故郷在 -

※書のご注文は「金言名句」をご覧ください。

 


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