第1568回
斜陽産業の固定観念にとらわれるな

世界中の輸送需要がふえて
海上運賃を押し上げたというけれど、
その最も大きな原因になっているのは
中国における鉄鉱石と石炭の輸送であります。
中国の石油の輸入増も
その原因の一つに加えていいでしょう。

鉄鉱石の輸送は
この1年に4000万トンふえましたが、
そのうちの3800万トンは中国向けです。
石炭や食糧も含めて
いわゆるドライバルク(バラ積み軽貨物)の増加分の70%が
何と中国に起因しているのです。
それに対して中国は運送手段も不足しているし、
港湾設備も対応できていません。
従って折角の投資ブームも
輸送がネックになって
成長をはばまれるのではないかと見る向きもありますが、
さきにも述べたように
投資ブームは空前の消費景気を
うしろに控えているので、
輸送手段の不備で立ち消えるような
あやふやなものではありません。

もし鉄鉱石と石炭と食糧の運送が
うまく行っていないとすれば
この分野の開発に資金が集中すると見るべきです。
とりわけ石油の上昇が不可避になり、
石油の消費量が急上昇するとすれば、
石油及び石油の輸送に
更に資金が集中することも考えられます。

その一方で、
工業製品の輸出入だけでなく
国内消費も急速にふえる方向にありますから
輸送力の不足は
急速の改善を迫られる立場にあります。
陸送も海送も湾岸設備もここ当分
成長産業の雄になる宿命を帯びていると言っても
決して言いすぎではないのです。

湾岸クレーンのメーカーや
コンテナのメーカーや
港湾の荷上げ荷卸しの会社の株価は
いずれも既に高値まで買われていますが、
海運会社の株や(日通に相当する)運送会社の株は
ミソもクソも一緒くたにして値下がりしています。
輸送力の不足がネックになっている以上、
仕事にあぶれる心配はないし、
むしろ運賃の上昇に支えられて
好業績をあげる立場におかれています。
したがって海運業を斜陽産業と考えることは
少くとも中国経済の成長が続く限り
訂正をする必要があります。


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