第1525回
私なら高い月給より好き嫌いで選びます

「終身雇傭制も崩れた」
「年功序列給も消えてなくなった」としたら、
人は何を頼りに職を探がしたり、
仕事をはじめたりしたらよいのでしょうか。

「フリーターをやるだけで、
 まともな就職をする人が少くなった」とか、
「パートタイマーだけで店が成り立つようになった、
 ならば店長もパートタイマーの中から選べばいいじゃないか」
という声をよくきくようになりました。
フリーターとか、パートタイマーときくと、
何か不安定な存在であるようにきこえますが、
終身雇傭制や年功序列給が
採り入れられる前の日本では、
番頭でも丁稚でも旦那が気に入らなければ、
いつでもやめさせることができたし、
本人たちもそれを当然のこととして
受け入れていました。
だから、昔に戻ったと思えば
別に難しい話ではありません。

むしろ半世紀前に比べると、
退職金もあるし、失業保険もあるし、
フリーターの口やパートタイマーの口なら
その日のうちにも見つかりますから、
いまの方がメシの食えなくなる心配がありません。
そうした環境のなかで
新しい仕事を探がすのですから、
いまの人の方が昔に比べて
ずっと恵まれていると言ってよいでしょう。

丈夫な身体と働く意志さえあれば、
とにかく餓死する心配はないのですから、
仕事選びは好き嫌いと
報酬のどちらに重点をおくか
ということになります。
好き嫌いは人によって違いますが、
報酬は数字ですから比較の対象になります。
同じ仕事なら報酬の多い方がトクでしょうが、
好き嫌いと報酬のどちらにするかということになると、
人によって意見がわかれます。
したがってどちらがいいということにはなりませんが、
私なら報酬よりも
自分の好き嫌いを優先させます。
折角、好き嫌いだけで選んでも
餓死しない世の中になったのですから、
報酬がついて来てくれれば
こんな願ったり叶ったりの選択はありません。
退勤時間前に
時計を30回も見るような職業は
選びたくないのです。


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