第1422回
下がりに下がった香港の中国不動産株

中国の不動産投資が難しいことについては
くりかえし述べてきました。
プロでも上海や北京で
さんざんな目にあわされることは、
北京や上海のド眞ん中に
建ち腐れのビルが並んでいるのを見ればわかります。
私自身、北京、天津、上海、成都と
4つの大都市で大きなビルを建てた経験があるので、
その苦痛が身に沁みています。

それでも不動産が重要な財産である限り、
また不動産がさまざまな形で付加価値を生む限り、
多くの人々が不動産に近づくのをやめることはありません。
日本人と同じように、
あるいはそれ以上に中国人は土地を尊重し、
不動産を財産のシンボルと考えています。
その代表選手にあたるのが香港人であり、
香港を代表する富豪たちの大半は
不動産ビジネスで産をなしています。
当然のことながら改革開放政策が打ち出され、
大陸が外貨を受け入れるようになると、
華人もしくは華僑と呼ばれる海外で成功した人々が
我先に乗りこんで
不動産投資をはじめました。
その中でも突出して大量の資金を投入したのが
香港の不動産業者です。
そして、私と同じように
さんざんな目にあわされています。

私はプロではないので、
乗りかかったプランは一応完成させましたが、
あとはやめてしまいました。
香港のプロは不動産投資を業とする人たちですから、
失敗してもそれを教訓として
更に資金を注ぎ込み、
次々ビルを建てたり、
分譲マンションを建てて今日に至っています。
あれから10年以上の歳月がすぎましたが、
全国どこの大都会に行っても
繁華街の中心に位置している建物は
ほとんどが香港の不動産業者の持物であります。

それらの不動産業者は
中国投資専門の別会社を
香港市場に上場していますが、
その貸借対照表を見ると、
痛ましい敗戦の歴史が
そのまま数字になって現わされています。
かつて10ドル台、20ドル台の株価をつけたことのある株が
下げに下げて1ドルを割った例には事欠きません。
粘りに粘った末に
漸く見直されるところまで
辿りついたところなのです。


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