第1361回
香港は昔の香港ではなくなりました

ベトナム旅行から香港に帰ってきた時、
私は久しぶりに馬地(ハピー・バレー)の
家具屋街を訪れました。
年末に自分の家を香港から上海に移すにあたって、
必要な家具を調達する必要があると思ったのです。

いま住んでいるコンベンション・プラザにある
マンションの家具を買ってから
もう10年以上の歳月がすぎています。
10年前は「97年に香港が中国に返還されたら
香港はゴースト・タウンになるだろう」
という俗説に対して
「いや、香港が大陸の中に埋没してしまうのではない。
大陸の香港化がはじまるのだ」
という異説を唱えた私の考え方が正しかったので、
自分の信念に従って購入した香港のマンションが
軒並み5倍にも値上がりしたので、
私は濡れ手に粟の金運に恵まれました。
おかげですっかり気が大きくなり、
海に面した豪勢なマンションに住むにあたって
香港中の家具屋街を歩きまわって、
一番高価だったフェンディの家具一式を
値札もロクに見ないで買い求めました。

ベッドも書棚もタンスも応接セットの机も
全部マホガニーのセットでした。
私はかねてから椅子やベッドは
頻度激しく使うものだからケチケチするな、
と本にも書き、
自分でもそれを実行してきましたが、
そのおかげでどこにつくった家でも
立派な家具にかこまれて生活をすることができました。
ところが、あッという間に、
香港も台湾も日本の後を追って
デフレの社会に転落してしまいました。

久しぶりに家具屋街を訪れて見て、
あんなにたくさんあった家具屋が
ほとんど店じまいをしてしまい、
僅か2、3軒しか残っていないのに
先ず驚いてしまいました。
それも代がわりをした上に
滅多に客が来ないと見えて、
入ってきたお客を逃がすまいと
必死になってつきまとうので
「何万ドルもの高価なものを買うのに
2、3日は考えさせてもらってもいいじゃないか」
と怒鳴っているお客もおりました。
香港も10年前の香港とは
違う香港になってしまったのです。


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