第1327回
コーヒーづくりのコーヒー知らず
雲南省にはコーヒーの栽培をしているところが
2ヵ所あります。
そのうちの1つである保山というところへ
見学に行ってきたのですが、
現地は亜熱帯の海抜700メートルから
1000メートルちょっとのところにあります。
ちょうど桜前線が移動するように、
海抜の低いところから
順次コーヒーの実の収穫がはじまり、
10月から2月にかけて
だんだん山の上の方へあがって行きます。
これも現地に行って知ったことですが、
中華人民共和国が成立した当初、
ソ連が盛んに肩入れをしたので、
雲南省がソ連人の飲むコーヒーを供給していたそうです。
そう言えばソ連の領土は
コーヒー・ベルトに及んでいませんので、
コーヒーの自国供給はできなかったのですね。
でもその後、中ソが仲たがいをしたので、
ソ連の販売ルートが中断され、
雲南省のコーヒー栽培は、
潰減に凝してしまったそうです。
幸にして世界的なコーヒー・ブームが起り、
一時期、雲南省コーヒーもキロ当たり
30元にも売れたことがありましたが、
その後、過剰生産で国際的な相場が暴落し、
現在では高値の3分の1以下のところで低迷しています。
私たちは将来、
13億人の人がコーヒーを飲むことを想定して
はじめるところですから、気の長い話です。
面白いことにここの農民は
コーヒーの栽培をしていますが、
自分たちはコーヒーを飲みません。
選別場に行ったらコーヒーでなくて
普耳茶(プーアルチャ)を出してきました。
ホテルへ帰って喫茶室でコーヒーを注文したら、
ウエイトレスが運んで来たコーヒー茶碗のコーヒーの中に
スプーンをさしこんでいました。
日本でも昔よく見かけましたが、
きっと小匙ですくって口に運ぶのが
コーヒーの飲み方だと思っているのでしょうね。
町を歩いてもコーヒーハウスは見かけませんでしたが、
ホテルの売店には
地元のコーヒー・メーカーのつくったコーヒーを
パッケージしたものを売っていました。
それを買わずに私たちは
選別場で干していたコーヒー豆を
東京まで持ち帰りましたが、
これがなかなかのものでした。
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