第1312回
人間心理のキャッチボールからはじめましょう

物を売る商売は流通業ですが、
体験産業はサービス業です。
デフレとグローバル化の影響を
一番まともに受けるのはメーカー業ですが、
流通業も供給過剰になったり、
不景気で売手が買いを手控えたら、
商売が難しくなってピンチにおちいってしまいます。

ニューヨークのサックス・フィフスアベニュー百貨店が
日本に進出すると新聞が報じていましたが、
アメリカで斜陽化の激しい百貨店が
東京に進出したヨーロッパの有名ブランドの成功ぶりを見て、
自分たちにもできるんではないかと思ったとしたら、
大へんな錯覚ですね。

ウォールマートのような安売り屋ならいざ知らず、
アメリカの百貨店のように
日本の百貨店よりずっと愚図で
客扱いの悪い商売は
アメリカでも存立が危ぶまれているのに、
サービスで世界のトップレベルにランクされる日本で
競争に打ち勝てるわけがありません。
肝心の日本の百貨店が
はたして何軒生き残れるかと危ぶまれているというのに、
どこの国にも見当違いのことを考える人がいるものだなと
感心してしまいます。

過当競争という点では
サービス業だけが例外ということではありません。
一旦、お客に見離されたら、
ユニバーサルやディズニーランドのような
一大娯楽センターだって油断はなりません。
宮崎や長崎やその他、
地方につくられた観光施設の不振ぶりには
目を覆いたくなるようなものがあります。
ただ体験産業は物をつくったり売ったりするのと違って、
体験したあとからすぐまた飢餓状態に戻って、
三度のメシに見られるように
食わずにいられなくなりますから
富の状態と人口に比例した一定の需要があります。
しかもだんだん贅沢になって
体験のために使うお金がふえるので、
うまくお客の心理をキャッチすることができたら、
商売としては立派に成り立って行く性質のものです。

ゴルフ場とか、オペラハウスのように
スケールの大きな事業を頭に浮べないで下さい。
サンドウィッチ屋とか、カレーライス屋も
サービス業のはしくれです。
サービスとは人間心理のキャッチボールから
スタートすることですから、
ハイテクよりもハイタッチの勝負です。


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2003年10月13日(月)

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