第1084回
ベンチャーでうまく行った例
いままでに皆で新しく創業する現場を見に行き、
これならいいだろうと思ってお金を出し合わせて
投資組合をつくって投資をしたことがあります。
とてもうまく行ったのもありますが、
うまく行かなかったのもあります。
うまく行った場合は私も皆に喜ばれて嬉しいのですが、
人間は勝手なもので、うまく行ったのは自分の才覚で、
うまく行かないのはQさんに瞞されたのだと言って、
私を訴えた人もおります。
返還前の香港で不動産投資をした時は
5倍にも値上りをしましたが、
北京や上海でやった時は半分にも値下がりしました。
形勢が悪いと見ると、全額払い込むのをやめるだけでなく
手付金を返せと言って裁判にまでなったこともあります。
私は多少、名前を知られていますから、
訴えられると新聞で報道されたりします。
それに懲りて、新しくベンチャーに投資する時は
失敗しても文句を言いませんと一札とってから
参加してもらうように致しました。
「あなたが損をしている時は、
私はあなたの何倍も損していることを忘れないで下さい。
私はあなたの何倍も投資をしているのですから」
と念を押します。
一番うまく行ったのは日立建機の
ショベル・ローダーの工場を安微省の合肥市に設立した時です。
私が間に立って折衝をした関係で出資を促されました。
私は建設機械の工場は果樹園をつくっているようなもので、
植えてから実がなるまでに時間がかかりすぎて
収穫ができる頃にはもう死んでいるから嫌だと言ったのですが、
一緒に行った人たちに逆に説得されて、
皆でお金を出し合わせました。
一昨年度はこの大不況にも拘らず、約30億元利益が出て、
5年ぶりに配当がありました。
昨年度の決算はまだ出ていませんが、
5割以上は売上げがふえていますから、
少なくともそのくらいは利益は増えているでしょう。
うまく行った話をしていると、
何でもうまく行くように見えますが、
失敗した話も山のようにあるんです。
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