第1024回
物は買わなくともお金は使わせろ
物の不足する時代はすぎて、
いまは物のありあまる時代です。
生産が過剰で、消費が不足すれば、生産は制限し、
消費は奨励しなければバランスはとれません。
生産を制限することは統制経済ならいざ知らず、
自由経済の下では先ずできません。
幸か不幸か、物が売れなくなると、物の値段は下がります。
下がって原価を割ればメーカーはつくるのをやめます。
供給がストップすれば物が不足しますから
値段は元に戻り、景気は恢復に向います。
しかし、昨今のようにデフレの風が海外から吹き込んでくると、
国内の供給は止んでも、
海外からの供給が続きますから、
安売りは止みません。
物は安ければ売れると言っても、限界があります。
安売りになれると、
人はいくら安くても物を買わなくなります。
潰れるだけのメーカーが潰れたあとで、
今度は安売り競争に負けた安売りメーカーが潰れます。
物を売っていただけではお金が廻らなくなってしまうのです。
どうしてかというと、
人が物を買うために使うお金には自ら限界があるからです。
しかし、お金にはほかにいくらでも使い途があります。
物を買わなくとも、楽しみを買ったり、
経験を買ったり、自分で身体を動かしたり、
要するに心の満足を得る代償としてお金を払います。
そのお金をもらった人はその人なりに
またお金を使いますから、
お金がまわっている限り産業界に経済効果をもたらします。
だから不足する消費を刺戟しようと思えば、
何に使われようと、お金がまわるように仕向ければよいのです。
一番いい例が社用族の飲み食いです。
会社のためという名目はありますが、
社用族の飲み食いが
どれだけ会社に功献しているのかわかりません。
でも飲み食いをした分だけ確実にお金が動くので
その経済効果はあります。
使った分だけ消費がふえて景気を刺戟しますから、
居眠りをしていたホステスさんも目を醒まします。
交際費に課税することは
税務署が景気の恢復を邪魔しているということになります。
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