第1020回
銀行国営で産業界の息を止める積りか
どこの国にも国有とか国営の事業があります。
社会的に見て必要であるけれども、
お金がかかりすぎたり、
利益があがるまでに時間がかかりすぎたりすると、
国がお金を出します。
鉄道とか、電信電話とか、
郵便は明治以降、国有からスタートしたことは皆さん、
ご存じの通りです。
でも国有になると、
スケールが大きいということもありますが、
どうしても動きが鈍くなるし、
無駄が多い上に、サービスがおろそかになります。
それでも潰れる心配がないので、一向に合理化がすすまず、
赤字の垂れ流しということになります。
では思い切って民営に切り替えようということになると、
今度は労働組合や利権とかかわりのある議員さんたちが
頑強に抵抗します。
そういう抵抗を押し切って、
鉄道も電話も民営化しましたが、
民営化すると、赤字経営も改善されたし、
サービスもよくなりました。
それに勢いを得て、
郵便事業も道路公団も民営化の方向に動いていますが、
道路一つ例にとっても既得権者の抵抗が激しく、
そのハードルをこえるのが容易ではありません。
それでもいつかは民営に移る日が来るでしょう。
どんな下手な民営でも、国営よりはましなことは
過去の実績が示している通りだからです。
ところが、国有ではどうにもならないことが
これだけ常識になっているというのに、
いま銀行を国有化する動きが出てきています。
不良債権の整理を強制的に
すすめているうちにあまりものひどさに、
公的資金を注ぎ込まなければ
金融不安におちいるのではないかという壁に
つきあたってしまいました。
国のお金を注ぎ込まなければならなくなったから
国有だというのでは
いくら何でも安易すぎると言えないでしょうか。
民営で行き詰まったから国有では、
住宅金融公庫は廃止するが、
もっとそれより効率の悪い大きな金融機関をつくって
国民の息の根を止めてしまえということになります。
一体、政府は何を考えているでしょうね。
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