第977回
不良債権の整理より景気対策を

ヨーロッパを旅行して失業率の多いことでは
日本の先輩格である国々で人々は
どんな商売のやり方をしているのか見て歩いているうちに、
日本国内は銀行の不良債権の処理をめぐって
国中が騒然となってしまったようです。

自己資本をどう算出するかをめぐって
竹中金融相と7つの銀行の頭取たちが対立をし、
自民党のお偉方が銀行側についたので、
政府資金を導入して一挙に整理する案が
暗礁に乗りあげてしまったのです。

銀行の不良債権を片づけなければ、
産業界の循環系統が正常に戻らないことは誰でも知っています。
アメリカからも度々せっつかれているし、
歴代内閣も緊急課題であるという認識は持っていましたが、
解決が延び延びになって、今日に至ってしまいました。
その必要を感じながらその解決ができなっかたのは
当事者たちが怠惰だったからではありません。
どこから手をつけても傷だらけで手の施しようがなかったために
先送りをしたからです。

お金を貸しつけている銀行にしても、
借りている企業にしても、
これほど深刻なことになろうとは思っていませんでした。
またどこまでが不良債権で、どこから不良債権でなくなるかは
銀行だってはっきり区別がつきません。
景気が好転すれば、忽ち金利が払えるようになる部分もあるし、
更に不況が悪化すれば、
不良債権でなかった貸付けも不良債権になってしまいます。
だからいくら不良債権を切って捨てても
景気が恢復しなければ、
また次々と不良債権が発生してしまうのです。

こういう時に、いくら不良債権を切って捨てても
銀行の経営が正常化するとは考えらません。
銀行を追い込んでいるのは不況ですから、
不況対策がきちんとできない限り、
銀行が立ち直ることは難しいのです。
ですから銀行に発生した癌を切って捨てても、
癌の発生する産業界の体質が変化しない限り、
また次々と転移します。
局所療法にばかり気をとられて、
体質改善を忘れた見当違いの金融対策では
残念ながら多くを期待することは
できないと言ってよいでしょう。


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2002年11月12日(火)

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