第939回
出版業界は元気がなくなりましたね

最近すっかり元気をなくした業界は出版屋さんですね。
単行本にもこれと言ったベスト・セラーズが現われないし、
雑誌にも話題をさらうような人気を呼ぶ新雑誌はありません。

もともと出版業界は単行本も定期刊行物も出しすぎで、
かなり前から斜陽化が叫ばれていました。
安易に本が出せるようになったので
売れそうもない本が次から次へと出され、
なかには折角、配本しても
縄もほどかないまま返本されるのが珍しくありません。
雑誌に至っては、構造的に広告収入がなければ
採算がとれないのが常識ですから、
不況で広告主が少くなると、
実績のある雑誌でさえも広告収入が激減して
赤字になってしまいます。
新しい雑誌になると、
読者の獲得からはじめなければなりませんから、
軌道にのせるまでに3億円や5億円損をする覚悟が
必要だと言われています。

それでも採算に乗るまでガマンできればいい方で、
俗に三号雑誌で姿を消すのも多いので、
一流出版社でさえ赤字におちいるようになってしまいました。
私は常連執筆陣の一人ですから、
全くのシロウトよりは内情に通じていますが、
私も含めて過去において数多くのベスト・セラーズをやった
有名著述家の本も棚ざらしにされることが多くなりました。
私はまだ版を重ねるチャンスに恵まれているからいい方ですが、
私の友人の中には5000冊刷って
3000冊売れたらいい方だという人もおります。

その半面、無名の若者の書いた物で、
テーマによっては3万冊も5万冊も
売れることが起っていますから、
出版業界にも選手交替が起っていることがわかります。
名前だけでは売れないのは、読者が読みたい物を
書いていないからと言うよりほかないでしょう。
デパートに物はたくさん並んでいるけれども、
自分の欲しい物がないと言って、
そのまま帰る人が多いのと同じです。
いまの若い人は本を読まなくなったと言って嘆くより、
読んでもらえるテーマを探すことが大切ですね。


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2002年10月5日(土)

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