第926回
三分するのはどれもあてにならないから
財産三分法が再び息を吹きかえす時代になりましたが、
どうして三分することになったかと言うと、
土地も株も現金もいずれも頼りにならなくなって
しまったからです。
土地神話が受け入れられていた時代には、
土地は値打ちのあるものとしてどこに行っても
誰にでも通用する財産でした。
銀行からお金を借りる場合でも、
土地を担保にすれば簡単に貸してもらえました。
ところが土地が値下がりをして、売り手ばかりで
買手がいなくなってしまうと、銀行は担保があっても
お金を貸してくれなくなってしまいました。
担保よりも、借手に返済するだけの安定した収入があるのか、
キャッシュ・フローはどうなっているのかということを
問題にするようになったのです。
少し前には空地の方が売りやすいと言って歓迎したのが、
いまでは空地だと収入がないからと
敬遠するようになってしまったのです。
従って新しく土地を買っていいものかと
誰しも迷ってしまいます。
株にしても10年間、下げ続けで、
とうとう17年ぶりの安値を更新してしまいました。
かつての優良株だった家電株にしても
製鉄株にしても見る陰もありません。
成長株の最先端にあった半導体の株や
情報株にしても安値に安値を続けています。
みんながあきらめて投げ売りをするようになったら、
株は買いだと言われていますが、
アメリカが更に一段安になるとすれば、
そう簡単に安値を拾えばよいと言うわけには行きません。
それなら現金で箪笥の中にしまい込んでおけばいいのか
と言うことになりますが、銀行が潰れるのも怖い、
空巣に狙われるのも怖いということになると、
置き場所にも困ってしまいます。
その上、政府が滅茶苦茶お札を
印刷するかも知れないと言うことになると、
あてになる物は何一つないことになります。
ならば何も持たないようにすればいいということになりますが、
金持ちは何も持たないわけに行きません。
仕方ないからどれも少しずつ持つということに
なってしまうのです。
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