第888回
デフレの居坐わりは長いと見て下さい。

デフレの圧力は大へんなものです。
不景気になると無駄遣いをやる人は少なくなります。
すると、物が売れなくなる上に、物の値段が下がります。
商売をしている人はお金が儲からなくなりますから、
従業員のサラリーをあげることもできなくなるし、
税金を払うこともできなくなります。
うっかりすると、倒産をしたり、
店じまいをしなければならなくなります。

しかし、お役所や学校や警察で使うお金は
減らないだけでなく、
失業者の救済や公共投資のお金が逆にふえますから、
政府の借金はふえる一方です。
公債を発行して民間からお金を借りると言いますが、
返すあてのないお金ですから、
簡単な話、紙幣を刷って
当座の支払いにあてているようなものです。
こうした紙幣の印刷が大へんな勢いでふえていますから
誰が見てもすぐにインフレになりそうなものです。

将来、デフレになったら政府が紙幣を印刷するから
結局、インフレでデフレを回避するようになるだろうと、
インフレ時代には私もそう思っていましたし、
そういう意見を述べたこともあります。
ところが、実際にデフレに突入してみると、
政府はドンドン紙幣を印刷していますが、
一向にインフレになる兆候は見られません。
いまになるだろう、なるだろうと思って見守っている人は
たくさんいますが、
少くとも当分の間はそうなりそうな気配はありません。
いくらお札が民間の手に渡っても
節約ムードが支配している限り、
お札は退蔵されてしまうからです。

それでもいつかは爆発的にインフレになるのでは、と
インフレ待望論は後を絶ちませんが、
物が溢れて生産基地が
安い方へ、安い方へと移っていますから、
お札の洪水は退蔵されて
デフレの堤防を乗りこえられないのです。
これはインフレ時代には想像もできなかった
新しい社会現象です。
これからの時代を生きる人は、
当分、デフレが支配することを前提として
企業の営業計画をたてるのが間違いが少ないと思います。


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2002年8月15日(木)

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