第732回
故郷の農地まさに荒れんとす、ですよ
グローバル化がすすむと、
どこの国でも農業が一番大きな影響を受けます。
農業が廃れて食糧が不足したりすると、
いざという時に困ってしまいますから、
農作物の輸入を制限したり、農民の税金を負けてやったり、
あの手この手の保護政策がとられています。
しかし、農業の保護が行われているということは
農業がどこの国でもこのまま放置しておいたら
だんだん成り立たなくなって行く
弱い産業になってしまったということです。
日本でも農家は若い世代が都会に働きに出てしまい、
後継ぎがいなくなって、
いま何とか畠いじりをしているお年寄りが
働けなくなったら、耕す人がいなくなってしまいますね。
その上、安い輸入品が
スーパーの売り場の大半を占めるようになったら、
農業は事実上、成り立たなくなってしまいます。
1軒また1軒とそういう農家が廃業すると、
そのうちに日本の農民の1人当りの耕作面積は
アメリカをオーバーするようになると言われています。
一頃、農地を保護するために、
農業法人による農業経営はご法度でしたが、
農業法人が許可されるようになると、
今度は機械化しても
農業経営がひき合わなくなってしまったので、
やっぱり農業の頽勢を挽回することは
できそうもありません。
最近は狂牛病の発生で牧畜も
ソロバンにのらなくなってしまいましたので、
牧場も放置されたままというのが多くなりました。
ざッと見渡して、
地方は工場が閉鎖される運命にあるばかりでなく、
農村も疲弊して
荒れるに任せているところが目立つようになったので、
各県の知事さんたちも
笑ってすませることができないところまで
追い詰められてしまいました。
これも新しく生じた大きな社会的な矛盾です。
工場が海外に移転をはじめただけでなく
食べる物まで
外国から運んで来なければならなくなるのです。
生活をするために支払うお金は
一体どこから稼ぎ出せばいいのでしょうか。
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