第716回
デフレにつけるクスリはありません

バカにつけるクスリはないと言いますが、
デフレにつけるクスリもありません。
デフレとは供給が需要をオーバーして
万年生産過剰の状態が続くことですから、
新しい需要を喚起すれば、少しは病状が改善されます。
アメリカ人が「内需の拡大を」としきりに言うのは、
そうした考え方からです。

公共投資の予算をふやしたり、
しまいにはやることがなくなって
年寄りや子供にお金をくれてやったりしたのも、
いずれもそうした発想の一環です。
しかし、その一方で消費税の課税をしたり、
税率を引き上げたり、また法人の交際費をきびしくして
税金をとり立てていますから、
内需の拡大を民間に任せる代わりに、
政治家が潤うようなお金の流れに変えただけのことです。
こんな姑息なやり方では、
何回やっても効果がないことは既に答が出ています。

それならいっそのこと政府の無駄遣いをやめさせてやれと
構造改革に乗り出したり、
思い切って円安にして輸出を刺激してやれと
他の国と利害の衝突をする挙に出ていますが、
倹約は消費の減少につながるし、
円安は海外から輸出商品の価格を値切られる
口実をつくるようなものですから、
やがて万策つきて1%の成長率は努力目標です
というところに落着くことでしょう。

あとは生産設備を破壊するだけですが、
戦争をして大規模破壊をしないとすれば、
企業同士の価格競争の結果、
どちらが倒産するかを待つだけということになります。
いま現に起っているのはこの道だけですから、
倒産と失業は避けられません。
私が本格的失業の時代ですよというのは、
企業に付加価値を生むチャンスがなくなって、
仕事が減ってしまうと見ているからです。

新卒でさえまだ就職が半分も決定していない地域があると
新聞は報じています。
かつて「黄金の卵」と呼ばれたフレッシュマンが
いまは売れ残ってふりかえってくれる人もいないのです。
自分の仕事は自分で探すか、
自分でつくり出す時代になったのです。


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2002年2月24日(日)

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