第665回
転業は倒産より勇気が要ります

いま商売をやっている人を見ていて、
日本国中で将来の見込みの立たない商売は、
全体の半分くらいあるんじゃないかと思います。
それを自覚していない人もあるでしょうが、
自覚している人でも、商売をやめるにやめられず、
どう整理してよいか、
一日また一日と先送りにしています。

銀行から借金をしていない人とか、
手形を書かないですんでる人は、
いよいよにっちもさっちも行かなくなるまでに
まだ時間の余裕がありますが、
支払いが目前に迫っている人は
手形を期日に落とせなかったり、
人からもらった手形が落ちなかったりしたら、
たちまち倒産に追い込まれてしまいます。

自分で事前に廃業する代わりに、
追い詰められてやめるのは、
やむを得ないということもできますが、
実は安易な方法なのです。
倒産すれば、その後、訴訟沙汰になったり、
後始末に追われて少なくとも2年間は
仕事が手につかなくなります。
信用もガタ落ちになるけれども、
それ以上に負け癖が身体にこびりついて、
自信を失ってしまいます。
ですから、倒産した友人が相談に来ると、
「2年間は人の相撲ばかりうまく見えて
 何をやっても駄目ですから、
 家に引っこんで魚釣りでもしていたらどうですか」
と忠告することにしています。

捲土重来はそのあいだにゆっくり想を練ることです。
志のある人はそのあとから出発しても遅くはありません。
もちろん、そういう時は助けてくれる友人がいないと
再起もできませんから、
ふだんから信頼しあえる友人を持っていることが
絶対的な条件です。

しかし、もっと重要なことは、足元がふらつきはじめたら、
ぶっ倒れる前に商売の整理をしてしまうことです。
この方が倒産をするよりももっと勇気の要ることです。
「転ばぬ先の杖」というでしょう。
倒産する前に店じまいをするか、
人に肩代わりしてもらえば、転業するのが容易だし、
他人にも迷惑をかけないですみます。
苦しむ時間も3、4年は短縮されます。


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2002年1月4日(金)

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