第594回
中国に留学する人もふえています

世の中が変わってきたせいか、
留学先をどこにするかという選択の仕方にも
少しずつですが、変化が現れています。

バブル以前は日本の若者の大半は
アメリカを留学先に選びました。
なかには友達が行くから僕も行くというのもあれば、
何度大学の受験をしても不合格で、親が手を焼いて
アメリカにでも行けと追い立てられて
留学する者もありました。
そういう連中はアメリカに行っても、
日本人同士でかたまって日本語ばかり喋って
暮らしていますから、何年たっても英語が上達しないまま、
国に帰ることになってしまいます。

ところが、最近見ていると、
北京や上海の有名大学はもとより、
地方の大学に一人で留学に行く
日本人がかなりふえました。
日本の大学に行かずにいきなり中国の大学に入る人は
さすがに多くありません。
大抵は日本の大学に行っているのを、
思うところがあって休学し、1年とか2年を限って
中国の大学に留学するとか、
もしくは日本の大学を卒業してからすぐに就職せずに、
中国の大学に再入学をしています。
目的をきいてみると、第一は先ず中国語を覚えること、
次に中国人社会にとびこんで中国人の生活を理解したいと
思う人が多いようです。

しかし、中国語は一応、不自由しない程度に
覚えるとしても、中国人の物の考え方や行動基準を
そのまま受け容れられる人はほとんどなく、
むしろお互いにこうも違うものかと
痛感することが多いようです。
私はそれでいいんだと思っています。
あまり外国人と接したことのない人は
誰でも自分と同じように発想するものだと考えがちですが、
生まれた環境が違えば、反応の仕方も違うものです。
それがわかっただけでも、
一人で外国に留学しただけの価値があります。
みんな同じだという先入観があれば、
腹が立つことが無数にありますが、
違いがわかれば、警戒心も働きますから、失敗は少ないし、
鷹揚な気持で相手に接することもできます。


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2001年10月25日(木)

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