第585回
治安はますます悪くなります

国境の壁がこわされたら、
テロも犯罪も国際的なスケールになりますが、
人間の行動半径もうんと拡がり、
移動が自由になります。
でもそこに至るまでにはまだまだ時間がかかります。
人間がどこの国にでも自由に行けるようになると、
人口が多くて貧しい国から所得が高くて稼ぎのよい国に
ドンドン動いてしまいます。

豊かな国では、よごれ仕事をやる人が少いので、
そういう仕事に従事してくれる人を欲しがっていますが、
そういう人が無制限に入ってくると、
賃金が下がった上に仕事がなくなると
国内の労働者が怖れます。
だからどこの国でも外国労働者の入国を
きびしく制限しています。
一方、貧しい国の方でも、出国を自由にしておくと、
人が次々と外国へ移住してしまって
おとなしく言うことをきいてくれる国民が
いなくなってしまいますから、
出国をきびしく制限します。
どちらも制限がきびしかった頃は、
人の行き来によるトラブルは
あまりありませんでした。

ところが、そんなことがいえないほど
人手不足がきびしくなると、
ドイツのように炭鉱労働者を大量に
トルコから迎え入れました。
また戦争による難民が出ると、
それにかかわった責任もあって、
アメリカは世界中から難民を受け入れるようになりました。
アジアでも、日本のように移民に難色を示す国でさえ
労働力不足に負けて、フィリピンやタイだけでなく、
パキスタンやブラジルあたりからまで
海外労働者を受け入れています。

ドイツもいまそうした移民の国籍問題で
頭を痛めていますし、
日本も在留期間がすぎても退去しない
不法滞在者の激増と、
中国大陸からの組織的な密入国者の流入に
悩まされています。
一説には20万人いると言われていますが、
いや、50万人は堅いところだという説もあります。
姿を見せない人の勘定をするのですから、
正確な数字がわかる筈がありません。
その分だけ犯罪の件数もふえて、
治安がますます悪くなることを
覚悟する必要があります。


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2001年10月16日(火)

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