第565回
テロ対策で景気に活は入れられない

1929年の世界大恐慌のあと、
ルーズベルト大統領はニュー・ディール政策をはじめ、
考えられるだけの知恵をしぼって、
景気の梃子入れをしようと努力しました。
銀行の救済にも力を貸しましたし、
公共投資にも力を入れて
人々に仕事をあたえようとしました。
それでも景気は思うように恢復しませんでした。
皮肉な話ですが、アメリカの景気が
本格的に立ち直るきっかけになったのは
日本による真珠湾攻撃でした。
戦争は大へんな消耗を呼び起こしますから、
たちまち物資不足におちいってしまうのです。

今度も「我々は戦争を仕掛けられた」
とブッシュ大統領は宣言していますから、
テロも戦争であることに間違いはありません。
ただテロは国と国との戦争ではありませんから、
仕掛けた相手が誰だかはっきりしませんし、
敵は姿を現わしませんから、叩きようもありません。
拳を振り上げるのはいいが、
どこに打ちおろしたらいいか判断に迷います。
片がつくまでに長い時間がかかることも
覚悟しなければなりません。

もし短期で勝負がつけば、
先ずはめでたしめでたしでしょうが、
その代わり大消耗戦にならないと、
景気を押し上げるだけのエネルギーにはなりません。
反対に長期戦になったとしても、
大部隊を動員するような大規模作戦にならなければ、
これまた景気を一変させるほどの
起爆力にはならないでしょう。
となると、テロはアメリカ経済を衰亡させる
きっかけになるだけで、
アメリカの景気の後退が
世界中に同時不況をもたらす結果になり、
当分は日本で起こったようなことが
アメリカにもヨーロッパにも、
またアジアの他の地域にも起こることが考えられます。
中国はそうしたなかで恐らく最もアメリカの影響を
受けることの少ない国になるでしょうが、
それでもアメリカや東南アジアに対する輸出が
一時的に減少することは免れないでしょう。
第一次大恐慌後、世界の中心的存在が
イギリスからアメリカに移ったように、
次はアメリカからアジアに移ることが
視野に入ってきました。


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2001年9月26日(水)

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