第518回
21世紀農業の候補地求めて海外へ
私がセーフ・ガードの第一線に関心を持ったのは、
さきにもふれた完熟トマトの発明者、永田照喜治さんが
苫小牧の工業団地で完熟トマトの
大量栽培をやるプロジェクトをたてたことが
きかっけでした。
草茫々の工業団地で21世紀の農業を展開することは
痛快なことでもあり、また素晴らしい着想でもあります。
でも地代が安すぎると役人あがりの管理者たちに反対されて
実現に至りませんでしたので、
本来なら国内市場を
安価な輸入品によって占領されたあとの農業として
発案したことですが、
いっそのこと高度の栽培技術を必要とする永田農法も、
日本をとびこえて、
中国大陸からスタートしましょうかと相談を受け、
それならば先ず現地の生産条件の調査からはじめましょう
ということになったのです。
旅行のスケジュールがほぼ整ったところで、
何気なく日経ビジネスをめくっていたら、
台湾から山東省に進出している冷凍食品業者が
有機農業で栽培した農産物を
日本に輸出するライセンスをとった記事が載っていました。
台湾企業で、総経理が日本人であることと、
場所が私が見学に行く冷凍工場と
自動車で5時間くらいの距離にあったので、
もう1度、出直すのも大へんだからと考えて、
北京から現地に連絡してもらい、
更に台湾の本社につないでもらったら、
何と向こうのオーナーは私の知っている人でした。
話がトントン拍子に進み、まずオーナーの一家の人たちと
上海のガーデン・ホテルで落ち合って打ち合わせをし、
私がもう1社の中国人だけでやっている
国営事業の本社を訪問したあと5時間かけて
泰山のすぐ麓にある泰安市の現場を訪れることにしました。
薬西市という所まで迎えに来てくれたRV車は
日本製の新車2台でしたが、
中国の報復措置が発表される寸前に購入したので、
1100万円ですんだけれど、
タッチの差で倍支払わされるところでしたと
説明を受けました。
第一線にいると国家間の泥試合も
高見の見物というわけには行きませんね。
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