第515回
ユニクロ現象にうまく焦点をあてて下さい

これからいよいよ中国の経済建設が本格的にはじまると
私は見ています。
北京オリンピックの決定は
そうした方向を象徴するものですが、
秋にはWTO加盟が実現します。
WTOに参加するとなれば、
一定期間内に人民元の自由化もやらなければならないし、
外国人や外国資本の参加を閉め出していた
流通業やサービス業界も開放しなければなりません。
関税率も引き下げなければならないし、
外国人が上海A株を買うこともできるようになる筈です。
つまり中国の経済建設に
外国人も参加することができるようになるのです。

高度成長について日本人は一ぺん経験していますから、
どういうことが起こるのか大体の見当がつきます。
中国人にとってははじめての出来事ですから、
日本人がそうであったように不安が先に立ちます。
その点、日本人は有利な立場におかれていますが、
経験があるからと言って必ず成功できるとは限りません。
2回目であっても、
外国で起ることは自分たちの国で起ることと
寸分違わないことではないからです。
むしろ日本で起ったことと
どこが違うかがわかることが大切だと思います。

いまはグローバル化の時代ですから、
日本人にとって大切なことは国際間の賃金レベルの差とか、
物価の差とか、経済発展の差とか、気候風土の差を
どうやってうまく利用するかということでしょう。
賃金の差が20対1もあるのに、
労働の質にそれだけの差がなければ、
当然、コストに大きな差が生じます。
また気象に大きな差があれば、
たとえば、日本に苺のできない季節に苺ができれば、
それをうまく利用すれば
価格差をうまく稼ぐことができます。
なかでも経済発展の段階に早い遅いの格差がある時は、
その格差をうまく利用することによって
利益を得る可能性があります。
私はユニクロが莫大な利益をあげているのを見て、
いち早く「ユニクロ現象」という言い方をしましたが、
若い人たちが海外に出かけて行って
そうした富にありつけるとすれば、
国際格差にうまく焦点があたった場合でしょうね。


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2001年8月7日(火)

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