第440回
農作物もブランド商品の時代です

外国旅行から帰ってくると、
私たちは口なおしのために、先ずすし屋にとびこみます。
それから上等の牛肉を出してくれるビフテキ屋に行きます。
すし屋のネタは江戸前からだんだん拡がって、
いまでは印度産もあれば、
アフリカ産もあるようになりましたが、
牛肉はやっぱり松坂肉とか神戸肉でないとダメなんですね。
輸入肉が全消費の半分以上を占めるようになった今日でも、
上等のビフテキとなると国内で育てられた牛に限ります。
輸入肉の3倍も5倍も、あるいは、もっと高くても、
美味しい牛肉を食べたい人は萬金を惜しまないのです。

日本の牛肉は香港や台湾でも売っています。
アメリカやオーストラリアの牛肉の何倍も高いのですが、
高くても食べたい人は大枚を切ります。
もちろん需要は限られてしまいますが、
コストの高いところでつくっても、
それなりに商売にはなるのです。

そういうやり方はお米についても言えます。
それこそ世界的水準で考えたら、
よその国の10倍も高い日本米ですが、
アメリカでも香港でもシンガポールでも
日本の米は売られています。
カリフォルニアでは
日本のすし米に負けないお米がつくられていますが、
それでも日本産の米を買う人がいるんですね。

日本国内でも似たような現象が起りつつあります。
各県でそれぞれの特産の米に名前がついていますが、
昨今は更に工夫をこらしてつくった
本人の名前がついたお米さえ売られています。
それも農協や米屋を通さなくとも、
お客に気に入られたら、年契約で
農家から消費者に宅配便で届くようになりました。
一定数の顧客ができてしまえば、
安い外米が自由に輸入されるようになっても、
干上がる心配のない農家もあるのです。
それというのも、お米を食べる量は減る一方ですが、
お茶椀に一杯か、半杯しか食べないのなら
美味しいご飯を食べたいと考える人は
ふえる方向にあるからです。
この発想で行くと、農作物は
そのうちにブランド商品の時代になりますね。


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2001年5月24日(木)

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