第431回
徳川時代まで逆戻りしないで下さい

ユニクロの衣料品とタオルにセーフ・ガードが
発令されるのかと思ったら、
一転して葱と生椎茸と畳表ときましたから、
日本の政治家たちな何を考えているのかと
本当にびっくりしました。

私は台湾で枝豆やキヌサヤを栽培して
日本に輸出する会社とかかわったことがありますから
わかっていますが、
農家に契約栽培を頼んだり、栽培の仕方を指導したり、
そのための種子を日本から取り寄せたりするのも
みんな日本人であり、日本の企業の仕業です。
台湾での栽培が駄目になったのは
台湾のコストが高くなりすぎたからで、
いま大半の契約農業は大陸に移っています。

中国人が鋤焼も食べないのに、
日本人の好んで食べる鋤焼用の日本葱を
栽培するわけがありません。
椎茸にしてもかつては大分県特産で、
香港や台湾の中華料理屋で使っている最上質の椎茸は
いまも日本製です。
日本で生椎茸の需要が急増して、
それをコストの安い中国の農村に
契約栽培させるようになったのももちろん日本人です。

畳表に至っては、中国には畳すらありません。
台湾の藺草が安いので、
戦前に私の家から岡山県に輸出したこたがあります。
その頃は原料の供給だけでしたが、
昨今は日本で加工しても引き合わなくなったので、
ゴザの状態まで仕上げることを
畳業者の中で利発な連中が
中国の生産地まで出かけて行って指導したのでしょう。
その結果、競争のできなくなった国内業者が
時代の先端を行く同業者を制裁してくれと
お上に訴えて出たのです。
それを本気になって取り上げるとしたら、
日本もアメリカに鉄鋼を売ったり、
自動車を売ったりするのはやめないといけませんね。

日本の経済構造はいま変革期にさしかかっています。
徳川時代のような後向きのことをやるよりも、
グローバル化にどう備えるかを考えるべき時です。
若い人は次の時代のために
道をひらく位置にいるのですから、
セーフ・ガードなんか一笑に附してしまって下さい。


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2001年5月15日(火)

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