第378回
どこの国製かにはこだわりません
海外に進出した日本のメーカーが
その製品をやがて日本に持って帰って売るだろうという
ブーメラン現象は、早くから予想できたことです。
日本の一流メーカーがつくるものだし、
外国にある工場でつくったとしても
品質に大して違いはないだろうし、
それでいて値段が30%も違えば、
誰しも安い方を選ぶだろう。
私はそう思ったけれど、
実際にはすぐそうはなりませんでした。
成田の免税店で売っていたキャノネットを手にとって見て、
メイド・イン・タイワンと書いてあるのに気づいた人は
そっと元の棚に戻しました。
安いと思って買ったのはいいが、
旅先でよくよく見て外国製とわかった人は、
内心、しまったと思ったものです。
その点、ニューヨークに行くと、
世界各国でつくられた商品が並んでいますから、
イスラエル製だろうと、コリヤ製だろうと
お客はこだわわりません。
製品の出来具合と値段だけにこだわります。
本当はそれが正しいんですね。
でも日本人がそうなるまでには時間がかかりました。
外国に行って工場をつくった日本人は
日本人に売る代わりに、
アメリカ人やどこ製かにこだわらない
よその国のお客に売ってきたのです。
それを日本に逆輸入して
日本人にも売れるようになったのは、
日本に世代交替があって、
若い人が日本製か、海外の日本企業製かに
こだわらなくなってからです。
日本製か、海外製にこだわらなくなったということは、
海外製であっても、日本のメーカーがつくった物か、
それ以外のメーカー製であるかにも
こだわらなくなったということです。
もちろん、ブランドにはこだわります。
メーカーの信用は消費者にとって最後の拠り所ですから。
そうなると、企画やデザインをどこの誰がやったかが
キー・ポイントになります。
またどのメーカーがつくったかが問題で、
どこでつくったかはあまり気にしなくなったのです。
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